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ヒトからはじまる基礎医学

全ての人々が適切な睡眠時間を確保できる未来

ヒトの睡眠研究への協力組織を募集中

日本は、不眠症などの睡眠に関する問題を先進国の中でも特に多く抱えており、経済協力開発機構(OECD)が2018年までに行った調査によると、日本人の平均睡眠時間は442分で、加盟国の中で最短の長さでした。睡眠不足は個人の健康のみならず、業務効率の低下や深刻な産業事故の原因となり、睡眠の可視化および睡眠の適切な管理は個人の健康管理を超えた社会的要求・意義を帯びてきています。特に近年、運送業や観光業のような一部の職種では、管理職員が従業員の健康状態や睡眠量を確認することが義務付けられており、従業員の適切な睡眠時間の確保を会社等が支援する未来が近づいています。この潮流に呼応して、厚生労働省は働き方改革を掲げ、働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じています。このように令和を迎えた今日、これまでは個人に依存していた適切な睡眠時間の確保を組織や社会が支える時代がまさに到来しようとしております。

このたび東京大学医学部の当研究室では、リストバンドを用いてヒトの睡眠を高い精度で識別する技術を開発することに成功しました。これまで睡眠・覚醒の識別や睡眠状態の判別は終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を用いて行われており、専門家の補助や多数の計測器具を必要とするため、装着にかかる労力や寝づらさを考慮すると、大規模な調査を行うことは困難でした。当研究室が開発した技術は、リストバンドをつけて生活するだけで、各時刻におけるその人の睡眠の状態を正確に把握できます。リストバンドを用いて手軽に睡眠を計測する技術により、日本人の睡眠時間を正確に把握することや、睡眠に影響を与える遺伝子を調べる際に、数千人から数万人を対象とした大規模なアプローチを取ることが現実的になりました。今回はこの技術を用いて、様々な生活環境を持つ社会人の方を対象にして睡眠を計測する大規模な調査を行いたいと考えています。人生の3分の1を占める「睡眠」を深く理解し、今後日本で生活する全ての人々が適切な睡眠時間を確保できる未来を創り出すための一里塚となる本研究に協力していただける企業様を募集します。

研究の簡単な流れ:

1. 安全性の確認されたリストバンドを配布します。

2. 参加者はリストバンドを2週間装着して生活しその後リストバンドを返却します。

3. 得られたデータを基に簡易解析した睡眠時間データを返却し、取得データは職種・年齢別の睡眠量分布の解析や判定アルゴリズムの改良に用いさせていただきます。

参加条件:1年間に500人程度の参加者が見込め、本プロジェクトの担当者を社内もしくは組織内に1名以上設定可能(兼任可)な会社もしくは組織

東京大学医学系研究科システムズ薬理学教室

教授  上田 泰己

e-mail: uedah-tky@umin.ac.jp

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